当団地建物における断熱性能について
従前の状況
当団地の特長の一つに、建物(居住棟)の断熱性能が高いことが挙げられます。
1993年の竣工時点では、以下のとおりでした。
(1)壁は内断熱(S1工法…断熱材25mm)
(2)屋上は、外断熱工法(但し断熱性能の経年劣化が顕著)
(3)窓は単板ガラスで断熱、遮音等の性能は当時の一般的なもの
(4)床下は断熱材なし
1993年の竣工時点では、以下のとおりでした。
(1)壁は内断熱(S1工法…断熱材25mm)
(2)屋上は、外断熱工法(但し断熱性能の経年劣化が顕著)
(3)窓は単板ガラスで断熱、遮音等の性能は当時の一般的なもの
(4)床下は断熱材なし
当団地の断熱改修に関するアンケート結果
先ず断熱工事に関するアンケート結果概要をご覧下さい。
夏:リビングの温度「やや暑さが和らいだ~かなり暑さが和らいだ」72.4%
満足度「やや高くなった~かなr高くなった」66.7%
冬:リビングの温度「やや暖かくなった~かなり暖かくなった」84.8%
満足度「やや高くなった~かなり高くなった」84.8%
1.調査主体 国土交通省国土技術政策総合研究所
2.調査名 お住まいの断熱改修に関するアンケート調査
3.調査目的 外断熱化等の省エネ改修前後における、室内温熱環境等(温度の変化・カビ・
結露の発生状況)の変化及び評価について調査するため
4.調査期間 2024/1/12(金)~1/26 (金)
5.調査対象 ビスタセーレ向陽台7棟160戸(回収率67.5%)
6.調査結果
「ビスタセーレ向陽台お住まいの断熱改修に関するアンケート調査結果」のとおり
夏:リビングの温度「やや暑さが和らいだ~かなり暑さが和らいだ」72.4%
満足度「やや高くなった~かなr高くなった」66.7%
冬:リビングの温度「やや暖かくなった~かなり暖かくなった」84.8%
満足度「やや高くなった~かなり高くなった」84.8%
1.調査主体 国土交通省国土技術政策総合研究所
2.調査名 お住まいの断熱改修に関するアンケート調査
3.調査目的 外断熱化等の省エネ改修前後における、室内温熱環境等(温度の変化・カビ・
結露の発生状況)の変化及び評価について調査するため
4.調査期間 2024/1/12(金)~1/26 (金)
5.調査対象 ビスタセーレ向陽台7棟160戸(回収率67.5%)
6.調査結果
「ビスタセーレ向陽台お住まいの断熱改修に関するアンケート調査結果」のとおり
窓の更新(2015年)
2015年に窓の更新(ガラスはLow-eペアガラス)をカバー工法で実施。
工事費155,314,802円で、補助金が33,333,780円(概ね工事費97万円/戸、補助金20万円/戸)でした。なお、窓だけでは断熱性能は若干上がったことを感じる程度でした。
仕様は、以下のとおり、旧サッシより全て性能アップしています。
耐風圧性:S6(2400Pa)
気密性:A-4(2等級線)
水密性:W-5(500Pa)
遮音性:T-2(30等級線)
断熱性:ガラス性能H-1(0.215m2・k/w以上)透明5mm+A15(空気層)+Low-e6mm
【サッシ更新前】サッシ中央に桟がある。換気小窓も古い引き違いタイプ
【サッシ更新後】若干ガラス面積は少なくなる。Low-eペアガラスは若干青みを帯びる
工事費155,314,802円で、補助金が33,333,780円(概ね工事費97万円/戸、補助金20万円/戸)でした。なお、窓だけでは断熱性能は若干上がったことを感じる程度でした。
仕様は、以下のとおり、旧サッシより全て性能アップしています。
耐風圧性:S6(2400Pa)
気密性:A-4(2等級線)
水密性:W-5(500Pa)
遮音性:T-2(30等級線)
断熱性:ガラス性能H-1(0.215m2・k/w以上)透明5mm+A15(空気層)+Low-e6mm
【サッシ更新前】サッシ中央に桟がある。換気小窓も古い引き違いタイプ


各住棟の屋上の「再」断熱防水工事(2019年)
次に2019年に、各住棟の屋上の「再」断熱防水工事を実施。工事費86,278,800円。
これにより、最上階住戸の真夏の温熱環境は圧倒的な改善を見ました。
【断熱材敷き込み中】
【断熱材を塩ビシートで覆い、塩ビシートを保護するトップコートを塗布して完了】
これにより、最上階住戸の真夏の温熱環境は圧倒的な改善を見ました。
【断熱材敷き込み中】


外断熱(2020~2021年)
【外断熱工事中全景】2020~2021年の大規模修繕工事で、外壁に50mmの断熱材を貼る「外断熱」を実施。1階床下も、断熱材を貼り、これで居住棟の住戸部分については、断熱化が全て完了しました。

一部に断熱材を貼ることができない部分がありますが、当該部分は内側に既存の断熱材があるので特段、断熱性能が低下することはありません。



外断熱の効果
工事後の精密な温度計によるデータを取りました(工事前のものはないので比較できないのが残念です)。その結果は以下のとおりです。
※データがトゲトゲになっている部分は、短時間日光が当たったためです。その部分は無視して下さい。
【中間階・中住戸】、【最上階・妻住戸】、【1階・妻住戸】について、【夏期と冬期】のデータです。それぞれ【南側居室・北側居室・外気温】と、【(コンクリート)壁外部表面温度・(コンクリート)壁内部表面温度】を取得しています(壁内部は、エアコンのスリーブ穴の内部に温度計を設置)。
※妻住戸とは、住棟の端にある住戸で、外気に接する面積が多い
《中間階・中住戸》について、夏期は、北側居室と南側居室の温度がほぼ同じです。冬期は若干北側居室の気温が低い程度です。また特に冬期は、室温が外気温の影響をほぼ受けておらず、常に20℃前後を保っています。
壁の表面温度については、内が外の影響を受けにくいことが分かります(全て同じ傾向)。
《最上階・妻住戸》については、エアコンONの影響で、夏期は南側居室が涼しく、冬期は南側居室が暖かくなっています。エアコンを使用していない北側居室では、冬期に外気温が0~7℃でも室温は12~13℃以上です。
《1階・妻住戸》も最上階・妻住戸と似た傾向があるものの、冬の北側居室は10℃程度まで下がり、南側居室も14~15℃です。1階は床下に断熱材を貼っていますが、下に住戸がないので、冬期の室温は他の住戸より若干低目となる様です。
居住しながらのデータのため、エアコン使用の有無の影響もありますが、南側居室と北側居室の温度差はかなり小さくなりました。
外断熱先行組合のアンケート結果、「夜中に起きても寒くない」「換気しても寒さを感じなくなった」「引越しを考えなくなった」などは全くそのとおりと思います。
「結露」に関しては、加湿しているお宅では若干発生します。また、サッシがアルミなのでサッシ部分にも結露する場合があります。換気の程度にもよるので、全く結露しない場合もあり、生活スタイルに依存します。
「電気代」については、冷蔵庫やエアコンの買い替えや、もっと快適にしたいなど生活スタイルの変化もあって、同一条件では比較できず、必ずしも「省エネになる」とは言い切れません。また、夏期にリビングのエアコンを使用した場合、各室の扉を開けておくと1住戸丸ごと涼しいと感じました。
ともかく、留守にして帰宅したとき、冬は暖かく、夏は涼しいと感じます。気温のこともありますが、建物躯体が外気温の変化を受けにくいため、輻射熱による影響も大きいと感じます。
また、外断熱により建物躯体の劣化が極めて少ないので、通常15年程度で外壁の塗り替えを実施しているところ、20年以上は保たせたいと考えています(長期修繕計画では安全側に18年と設定)。15年→20年で工事費は25%削減できることになります。また、躯体の補修費も外断熱部分は不要なので、更に安くなります。
断熱材は、南極でも半世紀の実績があり、劣化していないとのことなので、今後再度実施する予定はありません。また、地震による建物の変形にも影響しないことが実験で確認されています。
※データがトゲトゲになっている部分は、短時間日光が当たったためです。その部分は無視して下さい。
【中間階・中住戸】、【最上階・妻住戸】、【1階・妻住戸】について、【夏期と冬期】のデータです。それぞれ【南側居室・北側居室・外気温】と、【(コンクリート)壁外部表面温度・(コンクリート)壁内部表面温度】を取得しています(壁内部は、エアコンのスリーブ穴の内部に温度計を設置)。
※妻住戸とは、住棟の端にある住戸で、外気に接する面積が多い
《中間階・中住戸》について、夏期は、北側居室と南側居室の温度がほぼ同じです。冬期は若干北側居室の気温が低い程度です。また特に冬期は、室温が外気温の影響をほぼ受けておらず、常に20℃前後を保っています。
壁の表面温度については、内が外の影響を受けにくいことが分かります(全て同じ傾向)。
《最上階・妻住戸》については、エアコンONの影響で、夏期は南側居室が涼しく、冬期は南側居室が暖かくなっています。エアコンを使用していない北側居室では、冬期に外気温が0~7℃でも室温は12~13℃以上です。
《1階・妻住戸》も最上階・妻住戸と似た傾向があるものの、冬の北側居室は10℃程度まで下がり、南側居室も14~15℃です。1階は床下に断熱材を貼っていますが、下に住戸がないので、冬期の室温は他の住戸より若干低目となる様です。
居住しながらのデータのため、エアコン使用の有無の影響もありますが、南側居室と北側居室の温度差はかなり小さくなりました。
外断熱先行組合のアンケート結果、「夜中に起きても寒くない」「換気しても寒さを感じなくなった」「引越しを考えなくなった」などは全くそのとおりと思います。
「結露」に関しては、加湿しているお宅では若干発生します。また、サッシがアルミなのでサッシ部分にも結露する場合があります。換気の程度にもよるので、全く結露しない場合もあり、生活スタイルに依存します。
「電気代」については、冷蔵庫やエアコンの買い替えや、もっと快適にしたいなど生活スタイルの変化もあって、同一条件では比較できず、必ずしも「省エネになる」とは言い切れません。また、夏期にリビングのエアコンを使用した場合、各室の扉を開けておくと1住戸丸ごと涼しいと感じました。
ともかく、留守にして帰宅したとき、冬は暖かく、夏は涼しいと感じます。気温のこともありますが、建物躯体が外気温の変化を受けにくいため、輻射熱による影響も大きいと感じます。
また、外断熱により建物躯体の劣化が極めて少ないので、通常15年程度で外壁の塗り替えを実施しているところ、20年以上は保たせたいと考えています(長期修繕計画では安全側に18年と設定)。15年→20年で工事費は25%削減できることになります。また、躯体の補修費も外断熱部分は不要なので、更に安くなります。
断熱材は、南極でも半世紀の実績があり、劣化していないとのことなので、今後再度実施する予定はありません。また、地震による建物の変形にも影響しないことが実験で確認されています。